成年後見制度について

厚生労働省の発表によると、2030年には、認知症の有病率が20%を超えると予測されています。あと十数年で、5人に1人は「認知症」という社会がもうすぐそこまで迫っています。

成年後見制度の概要

成年後見制度

認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。

また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

成年後見制度の類型・パターン

成年後見類型

【成年後見】

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力が欠けているのが通常の状態にある方を保護・支援するための制度です。

この制度を利用すると,家庭裁判所が選任した成年後見人が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人または成年後見人が,本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,取消しの対象になりません。

【保佐】

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力が著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。

この制度を利用すると,お金を借りたり,保証人となったり,不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について,家庭裁判所かが選任した保佐人の同意を得ることが必要になります。

保佐人の同意を得ないでした行為については,本人または保佐人が後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,保佐人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。

また,家庭裁判所の審判によって,保佐人の同意権・取消権の範囲を広げたり,特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることもできます。

【補助】

軽度の精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力の不十分な方を保護・支援するための制度です。

この制度を利用すると,家庭裁判所の審判によって,特定の法律行為※について,家庭裁判所が選任した補助人に同意権・取消権や代理権を与えることができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,補助人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。

※特定の法律行為:民法第13条第1項の行為

  • 貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること
  • 金銭を借り入れたり、保証人になること
  • 不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること
  • 民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること
  • 贈与すること、和解・仲裁合意をすること
  • 相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること
  • 贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること
  • 新築・改築・増築や大修繕をすること
  • 一定の期間を超える賃貸借契約をすること

成年後見制度の利用方法

後見制度の申し立てから後見事務開始までの流れを説明いたします。

家庭裁判所へ申し立て

家庭裁判所へ後見等の開始の申立をし、家庭裁判所に後見人を選任してもらいます

  • 申立出来る人:本人・配偶者・4親等内の親族等・市区町村長
  • 必要書類:申立書、本人の戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書、診断書成年後見人候補者の住民票など

※裁判所により異なる場合がありますので、詳細は申立先裁判所でご確認下さい。

申立先:本人の住所地の家庭裁判所

家庭裁判所の審判

家庭裁判所は、後見を開始して良いか調査し、成年後見人を選任します。

  • 調査:家庭裁判所調査官が事情を尋ねたり、関係者に問合せをしたりします。
  • 審問:必要がある場合は、裁判官等が事情を尋ねます。
  • 鑑定:本人の判断能力についてより正確に把握する必要があるときは、精神鑑定を医師に依頼します。
  • 審判:以上の結果を踏まえ、裁判官が後見開始の審判をします。同時に、後見人等の選任をおこない、この審判内容は、申立人や後見人等に通知されます。

後見事務の開始

  • 支援:家庭裁判所が審判した内容に基づき、後見人等による支援がはじまります。

  • 監督:家庭裁判所は、後見人等を監督します。

※特に必要がある場合、後見監督人を選任し、後見監督人も監督します。

後見制度についてのご質問やお問合せはお気軽にご相談ください。

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