タダでも手放せない別荘地

相続した土地が埋蔵文化財包蔵地であった

全国で約25万件存在するといわれる別荘。

その中でも不動産開発会社が分譲するタイプの別荘地は、昭和の高度成長期に大流行し、別荘を所有することが一種のステイタスとなった時期もありました。

軽井沢など今でも人気の衰えない地域もありますが、分譲時から50年以上経過し荒廃しつつあるエリアも多く、二極化が進んでいるのが現状です。

当事務所でも、別荘地を相続した方から「タダでもいいから手放したい」という相談を何度もお受けしたことがあります。

私自身も成年後見の案件で利用していない別荘地を処分するのに大変苦労しました。

 

別荘地の管理費負担

開発会社が分譲するタイプの別荘地は、一般的な宅地と異なり、固定資産税のほか管理会社への管理費の支払義務が生じることがあります(建物がなくても)。

この管理費の支払い義務が買主側からするとランニングコストとして負担となり、手放す際のネックになってきます。

多くの場合、別荘地の所有者(買主)は、開発会社(管理会社)から分譲地を購入する際に管理契約を締結することを義務付けられ、新たにその土地の所有者になった人(相続人等)もその契約に縛られることになり、実際に別荘として使用していなくても、所有者である限り支払い義務は生じてしまいます。

購入した当事者であればまだしも、別荘地を相続した方からすると、このような状況には、当然納得がいかないでしょう。別荘管理契約の解除について争われた裁判例は多く存在しますが、契約の解除はほぼ認められていません。

 

管理契約の解除は難しい

なぜ管理契約の解除が認められないのでしょうか?

別荘地の管理とは、全体管理と個別管理に分けられ、全体管理とは、道路、側溝、交通標識、街路灯、ごみ処理などインフラ整備や安全・衛生に関する行為であり、本来であれば、地方自治体が担う公共サービスといえます。

ただ、別荘地が存在する自治体にとっては、地域住民(居住者)と同様の公共サービスを特定の別荘地に提供することは、費用負担の面からも困難であるため、開発段階で開発会社と自治体が管理についての協定を結び、要件をクリアできれば開発許可を出す、というスキームが行われていました。

したがって、別荘地の所有者は、本来は自治体が担うサービスである全体管理の費用も負担しなければならないため、管理契約の解除を認めてしまうと、他の所有者や地域全体に不利益を及ぼすことになる、ということが解除を認めない主な理由です。

よって、別荘地の所有者(相続した人も含む)は、別荘地を手放さない限り、その費用を半永久的に負担することが求められます。

 

別荘地を処分する方法

別荘地を手放して管理費の負担から免れる方法としては、

【売却、無償譲渡】

一般的な不動産市場では売却が困難でも管理会社や隣地所有者等が買い取ってくれる場合や無償で引き取ってくれる場合もあります。

【相続土地国庫帰属法制度】

必要な費用を支払い国に引き取ってもらう制度ですが、要件がかなり厳しく、すべての別荘地が対象になるわけではありません。また、この制度の利用は相続開始後(所有者死亡後)に限られます。

相続土地国庫帰属制度についてはこちら

【不動産引き取り専門業者】

不要になった不動産を有償で引き取るサービスを提供する業者が近年増えてきました。ただ、管理費等の負担がある場合は、引き取り費用も高額になることが予想されます。

不要な不動産の処分についてはこちら

【相続放棄】

相続放棄の申述をすると、被相続人の所有していた別荘地を相続しなくてもよくなりますが、放棄をするとその他の財産(自宅、預貯金等)も相続することができなくなりますので、現実的な解決策とはいえないでしょう。

相続放棄についてはこちら

 

まとめ

以上のように、人気のないエリアの別荘地を手放すのは簡単ではありません。

ただ、将来のランニングコストの負担や相続トラブルに備え、早い段階から様々な対策を検討していくことが大切であると考えます。

 

2024年2月

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代表者
司法書士・行政書士 
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住

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