借地権付き建物を相続したら、手続きと注意点を司法書士が解説

借地権とは?土地と建物との関係を理解する

借地権相続

「借地権」とは、土地を借りて建物を所有・使用する権利のことをいいます。

借地権付き建物とは、建物を所有するために土地の使用権(借地権)が設定された不動産のことを指します。

例えば、親が地主から土地を借りて自宅を建てていた場合、建物は親の所有ですが、土地の所有権は地主にあります。鎌倉市内でも借地権付き建物は多く見られ、地域柄か、地主がお寺であるケースも少なくありません。

このような関係では、建物を所有するために土地を借りる「借地契約」が結ばれており、通常、借主は地代を支払うことで土地を使用しています(賃借権)。

そのため、借地権付き建物を相続するときには、建物の所有権とともに土地を借りる権利(借地権)も一緒に引き継ぐことになります。

 
 
借地借家法における旧法と新法の違い

借地権に関するルールは「借地借家法」に定められています。この法律は、1921年(大正10年)に制定された借地法と借家法が数度の改正を経た後、統合されて現在に至っています。

1992年の法改正前と後では扱いが異なり、1992年8月1日以前に契約したものは「旧法」、それ以降は「新法」が適用されます。

旧法では契約期間が長く、契約後、地主側から契約更新を拒むことが難しい仕組みでした。たとえば、契約期間は最短でも20年、更新後も同様に20年以上と定められるケースが一般的でした。

また、更新を拒むには「正当事由」が必要で、建物が存在し賃借人が居住している限り、実質、半永久的に借りられる権利といっても過言ではありません。

一方、新法では「定期借地権」という制度が設けられ、契約満了後に更新されず、土地を返還する契約形態も認められています。

相続の際には、まずどちらの法制度下で契約されたものかを確認することが重要です。

 

 
借地権付き建物を相続したときの流れ

借地権付き建物を相続するときは、建物の相続登記を申請します。土地については所有者が異なるため、登記を申請することはできません。

建物の相続登記を完了することで、建物および借地権についての対抗要件を備えることができます。

【相続登記に必要な書類】

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 住民票
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 固定資産評価証明書

登記申請は本人でも行えますが、手続きが複雑な場合も多いため、司法書士に依頼すると確実です。

【地主への連絡と契約書の変更】

借地権付き建物を相続した場合、地主への連絡は欠かせません。

相続は包括承継であるため、地主の承諾は不要ですが、借地権者が変わったことを通知し、契約書の変更をしておくことが望ましいです。

一方で、相続人が建物を建て替える場合は、地主の承諾が必要です。承諾を得ずに建て替えると、契約違反となるおそれがあります。

相続が発生しても借地契約自体はそのまま相続人に引き継がれ、地代の支払いも継続して行われます。

ただし、実務では古い契約書が見当たらず、契約内容が不明確な場合も少なくありません。そのような場合は、新たに相続人と地主との間で契約書を作成し直すことも一つの方法です。

 

 
借地権付き建物の相続税と評価額の考え方

借地権付き建物を相続する際には、相続税が発生する場合があります。

課税対象となるのは「建物の評価額」と「借地権の評価額」です。借地権の価値は「相続税評価額 × 借地権割合」で計算されます。

借地権割合は地域によって異なり、国税庁の路線価図で確認可能です。

なお、鎌倉市では借地権割合が60〜70%の地域が多く見られます。

たとえば、相続税評価額が3,000万円で借地権割合が60%の場合、借地権の評価額は1,800万円となります。建物だけでなく、借りている土地にも評価額が付くため注意が必要です。

 

 

まとめ

借地権付き建物の相続は、単なる建物の名義変更登記にとどまりません。

地主への連絡、借地契約の再確認、相続税の計算など、複数の分野にまたがる対応が求められます。

相続が発生した場合は、建物の相続登記と並行して借地契約書の内容を確認しましょう。

必要に応じて、司法書士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

2025年5月

司法書士 日永田一憲

湘南海岸富士山・かもめ総合司法書士事務所
湘南海岸夏・かもめ総合司法書士事務所

未来に向け、安心できる相続を

かもめ総合司法書士事務所
相続専門の司法書士,日永田一憲

法務大臣認定司法書士
日永田一憲

突然の相続で何から手をつけたらよいか分からない、、そんなときは、司法書士の無料相談をご利用ください

かもめ総合司法書士事務所・鎌倉

0467-39-6827

神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-9-62フォーラムビル2階、鎌倉駅から0.6キロ、若宮大路沿い

営業時間:平日10時~17時半(事前予約で20時までご相談承ります)

相続や遺言、よくあるご質問

相続や遺言の相談は無料ですか?

初回のご相談は無料で承ります
お気軽にお問い合わせください

見積りをお願いできますか?

報酬及び諸費用について、
事前に料金表をご提示します

相続登記は全国対応ですか?

全国どこの法務局でも登記可能
遠方でもOKです

かもめ総合司法書士事務所鎌倉市由比ガ浜

法律サービスを通し安心と幸せを

かもめ総合司法書士事務所では、相続手続きをスムーズに行うことで、相続人の方のご負担を軽減し、これからのご家族の安心と幸せをサポートすることを使命と考え、日々、業務に取り組んでおります

〒248-0014
鎌倉市由比ガ浜2-9-62
フォーラムビル2階
かもめ総合司法書士事務所

0467-39-6827

事務所紹介

相続専門の司法書士,日永田一憲

かもめ総合司法書士事務所
代表者
司法書士・行政書士 
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住

当事務所では、相続手続きをスムーズに行うことで、相続人の方のご負担を軽減し、これからのご家族の安心と幸せをサポートすることを使命と考え、日々、業務に取り組んでおります

新着情報

2025年10月10日
相続コラム記事追加しました
2025年8月6日
依頼者様の声更新しました
0467-39-6827に電話する