知らない人からの遺贈は放棄できるの?

ネイマール10億1000万ドルを相続

ネイマール遺産相続

先日、ブラジルのサッカー選手ネイマールが、面識のない実業家から10億1000万ドル(約1484億円)の遺産を相続するというニュースが報じられました。

遺言書の法的な有効性は確認されたものの、財産の内容など細部については不明な点も多く残されています。

今後、ネイマールがどのような判断を下すのかは不明ですが、日本で同じようなことが起こった場合、どのような選択肢があるのでしょうか。

ネイマールになった気持ちで考えてみましょう。

 
 
包括遺贈と特定遺贈の違い

日本の法律では、遺言書によって法定相続人ではない人に財産を譲る行為を「遺贈」と呼び、財産を受け取る人を「受遺者」といいます。遺贈には大きく分けて「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。

包括遺贈とは「自分の財産をすべて○○に遺贈する」といった内容で、もらう人は相続人と同様に、不動産や預貯金などのプラスの財産に加え、借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。

一方、特定遺贈とは「鎌倉市由比ガ浜の自宅を○○に遺贈する」「預貯金のうち1億円を○○に渡す」といったように、具体的に特定された財産が対象となる遺贈です。もらう人は指定された財産のみを受け取り、その他の権利義務は承継しません。

 
 
ネイマールの選択肢

ネイマールのように遺贈を受ける立場になった場合、選択肢は大きく二つに分けられます。

  • 遺贈を受ける
  • 遺贈を断る

有難く遺贈を受け取る場合は、遺言執行者などの遺贈義務者にその旨を伝えることで承認したことになります。

一方で、関係者と揉めたくない、遺産に借金が含まれる、税金が莫大になりそうといった事情から辞退したい場合には、遺贈を放棄することもできます。このとき、包括遺贈と特定遺贈では手続きの方法が異なります。

 

 
包括遺贈の放棄

包括遺贈を受けた人は、相続人と同一の権利義務を有すると民法で定められています。そのため、包括遺贈を放棄する場合には、相続人と同様に家庭裁判所に「相続放棄の申述」を行う必要があります。

この手続きは、包括遺贈を知った日から3か月以内に行わなければなりません。もし期限内に申述しなければ、包括遺贈を承認したとみなされ、プラスの財産だけでなく借金などのマイナス財産も引き継ぐことになります。

 

特定遺贈の放棄

特定遺贈を放棄する場合には、家庭裁判所への申述は不要です。受遺者が「遺贈を辞退します」と遺言執行者などに意思表示すれば足ります。口頭でも可能ですが、後日のトラブルを避けるためには、書面など証拠が残る形で伝えることが望ましいです。

期限は特に定められていませんが、遺言執行者から「どうしますか」と催告があった場合には、期限内に回答しなければ承認したとみなされることがあります。

さらに、特定遺贈では一部のみを放棄することも可能です。たとえば「鎌倉市の土地と金銭5000万円を○○に遺贈する」という内容の場合、受遺者は「鎌倉の土地はいりません、5000万円だけを受け取ります」と一部だけの放棄も可能です。

 
 
まとめ

ここまで面識のない大富豪からの遺贈について、受遺者であるネイマールの気持ちになって考えてみました。

知らない人から遺贈を受けることは滅多にないかもしれませんが、もし自分がその立場になった場合には、まず、その遺贈が「包括遺贈」なのか「特定遺贈」なのかを確認することが第一段階です。その上で、有難く受け取るか又はお断りするかを判断しましょう。

以上のように、相続や遺贈に関する法律は複雑で、誤った判断をすると予想外に不利益を受ける可能性もあります。相続や遺贈に関してお困りのときは、お気軽に司法書士など専門家にご相談ください。

 

2025年9月

司法書士 日永田一憲

湘南海岸富士山・かもめ総合司法書士事務所
湘南海岸夏・かもめ総合司法書士事務所

未来に向け、安心できる相続を

相続専門の司法書士,日永田一憲

突然の相続で何から手をつけたらよいか分からない、、そんなときは、司法書士の無料相談をご利用ください

かもめ総合司法書士事務所・鎌倉

0467-39-6827

神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-9-62フォーラムビル2階、鎌倉駅から0.6キロ、若宮大路沿い

営業時間:平日10時~17時半(事前予約で20時までご相談承ります)

相続や遺言、よくあるご質問

相続や遺言の相談は無料ですか?

初回のご相談は無料で承ります
お気軽にお問い合わせください

見積りをお願いできますか?

報酬及び諸費用について、
事前に料金表をご提示します

相続登記は全国対応ですか?

全国どこの法務局でも登記可能
遠方でもOKです

かもめ総合司法書士事務所鎌倉市由比ガ浜

法律サービスを通し安心と幸せを

かもめ総合司法書士事務所では、相続手続きをスムーズに行うことで、相続人の方のご負担を軽減し、これからのご家族の安心と幸せをサポートすることを使命と考え、日々、業務に取り組んでおります

〒248-0014
鎌倉市由比ガ浜2-9-62
フォーラムビル2階
かもめ総合司法書士事務所

0467-39-6827

事務所紹介

相続専門の司法書士,日永田一憲

かもめ総合司法書士事務所
代表者
司法書士・行政書士 
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住

当事務所では、相続手続きをスムーズに行うことで、相続人の方のご負担を軽減し、これからのご家族の安心と幸せをサポートすることを使命と考え、日々、業務に取り組んでおります

新着情報

2025年9月10日
相続コラム記事追加しました
2025年8月6日
依頼者様の声更新しました
0467-39-6827に電話する