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相続財産の中に上場株式が含まれている場合、預貯金や不動産と比べて遺産分割の扱いが難しくなることがあります。
株式は日々価格が変動する資産であるため、遺産分割の時点と相続税の申告時点で評価額が異なることも珍しくありません。
また、株式は相続人同士で分けにくい性質を持っているため、売却して現金化せざるを得ないケースもあります。
本稿では、上場株式の特徴や注意点を整理し、具体的な事例を交えながら解説します。
上場株式とは、証券取引所で売買されている株式のことを指します。
東京証券取引所などの市場に上場している株式であり、非上場株式(未公開株)と異なり、取引市場が存在するため、いつでも売買できるという大きな特徴があります。
株価は市場の需要と供給によって毎日変動し、インターネット等を通じて容易に確認できます。流動性が高い一方で価格変動も大きいため、遺産分割の際には特有の注意が必要です。
現金や預貯金であれば、相続分に応じて分割することに問題はありません。しかし、上場株式は市場で売買できる単位が最低100株と決められています。例えば、500株を相続人2名で1/2ずつ分けると250株ずつとなり、売買しにくくなってしまいます。
さらに、株式を相続人へ移管する際には、被相続人と同じ証券会社に口座を開設する必要があります。複数の証券会社に口座がある場合、相続人によっては大きな負担になることも考えられます。
遺産分割の場面では、上場株式をどの時点の価格で評価するかが大きな問題になります。株式は日々値動きがあるため、相続開始日と遺産分割協議の日では評価額が大きく変わることも珍しくありません。
法律上の明確な決まりはなく、実務では「被相続人が亡くなった日の終値」「遺産分割協議を行う日の株価」「一定期間の平均値」など、相続人全員が合意できる基準日を定めるのが一般的です。
相続税の申告では、法律で明確な基準が定められています。上場株式の評価額は、次の4つの価格のうち最も低いものを採用できます。
この仕組みにより、相続開始日に株価が高騰していても、前月や前々月の平均株価が低ければ、その低い価格で評価できます。
ただし、これは税務上の評価額であり、遺産分割協議における評価額とは一致しない場合があります。そのため、相続人の間で混乱や不公平感が生じることもあります。
上場株式の相続でよく問題となるのが、遺産分割協議が成立した後に株価が大きく変動するケースです。協議時には公平に分けたつもりでも、その後の値動きによって相続人ごとに大きな差が出てしまうことがあります。
これは株式という資産の特性上避けられないリスクです。相続人全員が納得するためには、分割協議の際に「株価変動リスクを理解している」ことを相互に確認しておくことが大切です。
また、場合によっては株式を売却して現金化したうえで分ける方法を選ぶことで、不公平感を軽減できます。
相続で取得した株式を売却する場合、譲渡所得税が発生します。ここで重要なのは取得費の扱いです。相続した株式は、被相続人が取得した当時の価格をそのまま引き継ぐことになります。
例えば、被相続人が10年前に1株1,000円で購入した株式を相続し、現在の株価が1株2,500円であれば、売却時には「2,500円-1,000円=1,500円」が1株あたりの利益となり、所得税と住民税が課されます。売却益が大きいと税負担も重くなるため、相続税と合わせて二重に課税される印象を持つ人も少なくありません。
また、相続税を納めるために株式を売却する場合でも、税務上は通常の売却と同じ扱いとなります。したがって、相続財産に株式が含まれる場合には、売却のタイミングや税金の計算方法について、専門家の助言を受けることが望まれます。
上場株式が相続財産に含まれると、遺産分割や税務申告で相続人が混乱する可能性があります。そのため、生前からの準備が大切です。
代表的なのは遺言書の作成です。遺言書に「誰にどの株式を相続させるか」を明記しておけば、相続人同士のトラブルを防ぐことができます。
また、株式の評価差額を預貯金などで調整する方法をあらかじめ定めておけば、公平な分配が可能となります。
相続財産に上場株式が含まれる場合、預貯金や不動産とは異なる特有の注意点があります。株式は日々価格が変動するため、遺産分割で不公平感が生じやすい資産です。さらに、売却時の譲渡所得税など想定外の負担が発生することもあります。
そのため、株式を含む相続手続きを行う際は、相続人同士で話し合うだけでなく、司法書士や税理士といった専門家の助言を受けることが望ましいといえます。そして、生前に遺言などで準備をしておけば、相続開始後の混乱を大幅に減らすことができます。
株式は資産形成の手段として有効である一方、承継時にはさまざまな課題を伴います。この点を理解し、早めの準備によって家族が安心して資産を受け継げるよう備えることが大切です。
2025年8月
司法書士 日永田一憲
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代表者
司法書士・行政書士
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住
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