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高齢化が急速に進む日本社会において、「孤独死」という言葉を耳にする機会が珍しくなくなってきました。
孤独死が発生すると、相続人や関係者が抱える問題は複雑になりがちで、とりわけ不動産に関する問題は深刻です。
本稿では、孤独死に関連する不動産の問題や相続手続きについて、実務上の注意点をわかりやすく説明いたします。
「孤独死」という言葉には明確な定義はありませんが、政府の高齢社会白書では「誰にも看取られることなく、亡くなった後に発見される死」とされており、最近では「孤立死」とも呼ばれています。
厚生労働省の人口動態統計によると、令和6年の死亡者数は約160万人ですが、そのうち「自宅において死亡した一人暮らしの方」は約7.6万人(警察庁資料)とされており、全体の4%以上が孤独死であったと推計されています。
【死亡届が提出されていない】
人が亡くなっても、市区町村役場に死亡届が提出されなければ、戸籍に死亡の事実が記載されず、相続人の調査を始めることができません。
死亡届の提出者は戸籍法第87条により、親族、同居者、家主、地主、後見人などと定められており、通常は親族が届け出ることになります。
しかし、孤独死の場合には被相続人が身寄りのない高齢者であることが多く、たとえ親族がいたとしても疎遠であったり、速やかな届け出がなされないケースも少なくありません。
【相続人の調査が困難】
孤独死された方には、配偶者や子どもがいないことも多く、相続人は兄弟姉妹やその子(甥・姪)となる場合が多く見られます。このようなケースでは、相続人の調査に多くの時間と労力を要します。たとえ相続人が判明したとしても、被相続人との関係を理由に相続を辞退される、つまり相続放棄の手続きをとられるケースも少なくありません。
さらに、相続人が承認または放棄の意思を示さないまま死亡した場合には、その相続人の相続人(再転相続人)が地位を引き継ぐことになります。このように、一次相続だけでなく二次相続の調査も必要となり、手続きはより複雑になります。
●賃貸物件で孤独死があった場合
【賃貸借契約の処理】
賃貸借契約は、賃借人が死亡したことによって当然に終了するものではなく、賃借権は相続人に承継されます。ただし、被相続人が一人暮らしだった場合、相続人が契約の継続を希望しないことがほとんどですので、賃貸人と相続人との間で賃貸借契約を合意解除する流れとなります。
【滞納賃料の回収・原状回復】
被相続人が滞納していた家賃は、相続財産の債務として相続人が引き継ぐことになります。また、孤独死によって室内の特殊清掃が必要となった場合、その汚損や臭気が通常の損耗の範囲を超えて「特別損耗」と認められれば、修繕費や原状回復費用を相続人が負担しなければならない可能性もあります。
【物件の明け渡し・家財の処分】
賃貸借契約の終了に伴い、賃借人には物件の明け渡し義務が生じ、室内に残された家財などを搬出しなければなりません。賃貸人と相続人が賃貸借契約を解除した場合には、この義務も相続人が負うことになります。
一方で、賃貸人は賃借人の死亡を理由に、勝手に物件内の家財等を処分することはできません。この点が賃貸人にとってリスクとなっており、結果として高齢の単身者が新たに住居を借りることが困難になるという社会問題も生じています。
このような課題に対応するため、国土交通省は「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表し、契約時に死後事務委任契約の受任者をあらかじめ定めることで、死亡後の家財等の処理を円滑に進められる仕組みを推進しています。
●所有物件で孤独死があった場合
【事故物件の告知義務と心理的瑕疵】
事件や事故で人が亡くなった物件は「事故物件」とされ、次の入居者に対してその事実を告知する義務があります。国土交通省のガイドラインによれば、自然死や孤独死で3年以上が経過したものについては、原則として告知は不要とされています。ただし、事件性が高い場合や社会的に大きな影響を及ぼす事案では、引き続き告知が必要となる場合もあります。
また、所有物件で孤独死があった場合、売却時に心理的瑕疵があると見なされ、価格が大きく下落することもあります。
【相続人がいない場合】
相続人がいない、あるいは全員が相続を放棄した場合には、家庭裁判所に対して相続財産管理人の選任を申し立てることになります。
その結果、残された不動産などの遺産は最終的に国庫に帰属することになりますが、こうした手続きには相当な時間と手間がかかります。
孤独死そのものを完全に防ぐことは困難ですが、万が一の事態が発生したときに、相続人や関係者の負担を軽減する備えは可能です。
その方法として、遺言書を作成したり、死後の手続きを円滑に進めるために死後事務委任契約を締結しておいたりすることが挙げられます。ただし、これらの手続きを適切に進めるには、法律や実務に関する専門知識が必要ですので、司法書士や弁護士などの専門家に相談されることをおすすめいたします。
2025年7月
司法書士 日永田一憲
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代表者
司法書士・行政書士
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住
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