隠し子に相続権はあるのか?

嫡出子と非嫡出子とは?

隠し子に相続権はあるのか?

相続の仕事で戸籍を調査していると、父の欄が空欄になっている戸籍謄本を時折目にします。

特に昭和20年より前(戦前)は、それほど珍しいことではなかったようです。

現代でも、非嫡出子(婚姻外)の割合は、生まれてくる子の2.3%と決して少なくありません。人数にすると約17,000人ほど(2022年・政府統計サイト)。

では、法律上の親子関係がなくても、事実上の子は父の財産を相続することはできるのでしょうか。

民法では、親子関係に「嫡出子(ちゃくしゅつし)」と「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」の区別があります。

  • 嫡出子:法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子
  • 非嫡出子:婚姻関係にない男女の間に生まれた子(いわゆる「隠し子」も含む)

2013年の改正前は、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていました。しかし、法改正により現在では、嫡出子と同じ相続分が認められています。

 

認知の必要性

父親から認知されていない非嫡出子が相続権を得るには、認知が必要です。

認知とは、事実上の親子間に法律上の親子関係を認める手続きであり、次の方法で行われます。

【任意認知】

父親が役所に「認知届」を提出すると、戸籍に親子関係が記載され、法的に親子と認められます。

【裁判による認知・強制認知】

父親の意思に基づいた「任意認知」が期待できない場合、父親の意思に関係なく強制的に認知を実現する方法があります。これを「強制認知」といい、裁判所が認知の可否について判断します。

裁判による認知の場合、審判または判決の謄本と確定証明書を役所に提出します。この手続きは、確定日を含めて10日以内に行う必要があります。

【遺言による認知】

遺言による認知の届出は、遺言執行者が遺言書の謄本を添付して、遺言者の本籍地、子の本籍地、または遺言執行者の住所地のいずれかの役所に提出します。

遺言書には「○○を自分の子として認知する」と記載します。遺言が有効であれば、相続開始後に戸籍に反映されます。

【死後認知】

親が生前に認知していなかった場合でも、子は「死後認知」を請求できます。

これは、親の死後に家庭裁判所へ申し立てを行い、裁判所が親子関係を認めることで成立します。

死後認知が認められると、その効力は出生時にさかのぼるため、認知された子は父親の遺産を相続できます。

認知請求は、父の死後3年以内に行う必要があり、DNA鑑定結果などの証拠が求められます。

認知が認められると、親子関係が戸籍に記載され、相続権が発生します。

 

DNA鑑定の重要性

親子関係を証明する有力な証拠の一つに「DNA鑑定」があります。特に死後認知では、裁判所からDNA鑑定結果の提出を求められることが多いです。

原則として、鑑定結果が99%以上の確率で親子関係を示せば、有力な証拠として採用されます。

父親が死亡している場合、親子関係を証明するために、嫡出子(父親の子)とのDNA鑑定が行われることが一般的です(兄弟姉妹である証明)。しかし、嫡出子(父親の子)にはDNA鑑定への協力義務はありません。

協力が得られない場合は、被相続人の遺品(髪の毛や歯ブラシなど)からDNAを採取し、鑑定することも可能です。

DNA鑑定の結果が証拠として認められれば、認知が成立し、相続権を得ることができます。

 

まとめ:隠し子の相続権

隠し子(非嫡出子で認知されていない子)でも、認知されれば相続権を得られます。認知は、実際の父親と子に法的な親子関係を生じさせる重要な行為です。

手続きには複雑な部分も多くありますので、認知についてお悩みの方は、弁護士、司法書士等の専門家にご相談ください。

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