自筆証書遺言でよくあるミス、
失敗事例とその回避法

自筆証書遺言とは?

遺言書を書くおじいさん

自筆証書遺言は、遺言者自身が手書きで作成する遺言書の形式の一つです。遺言者が全文(財産目録等は印字でも可)、日付、氏名を自書し、押印することで成立します。

この形式は、費用がほとんどかからず、自分一人で手軽に作成できる点が魅力ですが、法律で定められた要件を満たさない場合、その遺言書は無効(または一部無効)となる可能性があります。

また、自筆証書遺言は、記載方法の誤りや内容の曖昧さが原因で、目的を実現できなかったり、相続人間でトラブルが発生しやすい形式でもあります。

当事務所で実際に取り扱った失敗事例を基に解説していきます。

 

よくある失敗事例

1. 法的要件を満たしていない

遺言書の全文が自筆でない場合や日付が正確でない場合など、法的要件を満たしていない遺言書は無効となってしまうこともあります。

例えば、全文をパソコンで作成してプリンターで印刷した場合や、日付を「令和〇年〇月吉日」と記載した場合も無効とされます。

2. 不動産の表示が不正確

遺言書に不動産を記載する際は、登記事項のとおりに所在、地番、家屋番号等を正確に記載しなければなりません。

不動産の表示として住所(住居表示)のみが書かれているケースが多くみられますが、この場合、所有権移転登記ができないこともあります。

また、「家を与える」や「自宅を引き継いでもらう」と記載していても、どの不動産を指しているのかが明確でない場合は、登記ができないばかりか、相続人同士の争いの原因になる恐れもあります。

3. 金融資産の内容が曖昧

例えば、金融機関に預けてある財産をすべて相続させるつもりで「銀行預貯金の全部を相続させる」と記載していても、その銀行に預けてある投資信託や国債には効力が及びません。

効力が及ばない部分については、相続人全員で改めて遺産分割協議を行う必要があり、そのために時間、手間、費用がかかってしまいます。

4. そもそも発見されない

遺言書の存在を相続人に知らせていない場合や、発見しにくい場所に保管している場合、亡くなった直後に遺言書が発見されず、相続人が相続手続きを進めてしまうことがあります。

実際、亡くなってから数年後に遺言書が発見されたという事例もありました。

また、銀行の貸金庫は、原則として、亡くなった直後には開扉できないため、保管場所としてはあまり推奨できません。

遺言書の内容を知られたくなくても、最低限、遺言書の存在や保管場所は相続人に知らせておくべきです。

さらに、2020年に開始された法務局による遺言書の保管制度を利用するのも一つの選択肢です。

法務省:自筆証書遺言保管制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

 

自筆証書遺言で失敗を防ぐためのポイント

1. 法的要件を確認する

遺言書を作成する前に、全文自書、日付、氏名、押印など、自筆証書遺言の法的要件を正確に確認しましょう(民法968条)。

2. 財産は具体的に記載する

遺言書に記載する財産の内容は、具体的かつ正確でなければなりません。不動産については、住居表示ではなく、登記事項のとおりに所在・地番等、物件を特定できるように記載し、金融資産については、銀行名、支店名、口座の種類、口座番号等を正確に記載しましょう。

3. 公正証書遺言にする

自筆証書遺言と公正証書遺言は、実体的な法的効力に優劣はありませんが、信頼性や正確性の点では公正証書遺言に分があります。自筆証書遺言に比べ、費用や手間はかかりますが、将来的なトラブルを防ぐためにも、公正証書遺言をおすすめします。

 

専門家に相談することの重要性

遺言書を作成する際は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、法的に有効な遺言書を作成できます。また、将来的なトラブルを防ぐ効果も期待できます。

当然、費用は発生しますが、相続発生後の手続きまでトータルで考えると、コストパフォーマンスはむしろ良いといえるかもしれません。

特に、相続関係が複雑な場合や財産が多岐にわたる場合は、ぜひ専門家に相談してください。遺言者の意思を実現するための適切な提案を受けられるでしょう。

 

2024年12月

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