相続登記義務化と旧民法の関係

長年放置された不動産の登記名義

相続登記義務化と旧民法の関係

令和6年4月に相続登記が義務化される以前は、相続した不動産の名義変更が長期間放置されるケースが頻繁に見られました。

相続人間の話し合いの難航や登録免許税などの費用負担の懸念から、名義変更が後回しにされることが多かったためです。

このような登記名義の放置は、災害復興時の所有者不明土地問題や空き家問題を引き起こす原因の一つとなっております。

 

相続登記義務化による意識変化

相続登記の義務化は、このような問題を解決するための大きな一歩です。

この法律により、不動産を相続した人は3年以内に登記を行う義務を負うことになり、権利関係が早期に明確化され、不動産の利用や運用がスムーズに進むことが期待されています。

義務化に伴う罰則として、一定期間名義変更が行われない場合には、10万円以下の過料が科されます。

経済的な負担としてはそれほど大きくはないかもしれませんが、罰則があるという心理的なプレッシャーからか当事務所でも相続登記に関する相談が一気に増えました。

相談の対象となる土地は、どちらかといえば、地方の山林や雑種地など比較的資産価値が低い物件が多く、中には、登記名義人が数世代前の方になっているケースもあり、相続人を調査すると10名超になることも珍しくありません。

いずれにしても、困難さのわりに報酬が伴わない司法書士泣かせの業務といえるでしょう。

 

現民法と旧民法の相続制度の違い

相続に関するルールは、明治時代に制定された旧民法、昭和22年の応急措置法、現在の民法と時代によって変化してきました。

特に、昭和22年5月2日以前の旧民法に基づく相続では、現在の民法とは大きく異なるルールが存在しました。

例えば、家督相続という制度では家を継ぐ長男が全ての財産を相続することが一般的で、二男以下や女子は何も相続できる財産はありませんでした。

また、継親子・嫡母庶子等、現行法にはない旧民法特有の単語も全体像の理解を難しくしています。

 

相続開始の時期によって適用される法律は異なる

長期間、名義変更を放置されてきた土地の相続登記を申請する際には、相続開始時の法律を確認することが重要です。

簡単に言うと、被相続人が亡くなった時期によって適用される法律が異なるため、その時期に有効であった法律を適用して手続きを進める必要があります。

我々司法書士も相続登記義務化により、それまではあまりなじみのなかった旧民法に接する機会が増えてきました。

また、旧民法が適用される場合でも、被相続人の立場によって家督相続となるか遺産相続となるか異なること等、旧法独自のルールに注意する必要があります。

 

相続人の特定と相続登記の難しさ

相続登記を行うためには、まず相続人を正確に特定する必要があります。これには、被相続人の戸籍謄本や戸籍の附票、住民票の除票等を取得し、相続人全員を特定していきます。

しかし、戸籍が保存期間経過後で消去されている場合や、戦災などで滅失している場合には、調査が非常に困難になることがあります。

さらに、相続人が特定できたとしても、相続人全員の同意がなければ、遺産分割を成立させることはできません。

諸般の事情によって期限内に相続登記を申請することが難しい場合の救済措置として、令和6年より相続人申告登記という制度が設けられました。

この制度を利用することにより、相続人全員を特定できていなくても自分が相続人であることを法務局に申請すれば義務を果たしたことになり、罰則が科されることはありません。

 

まとめ

相続登記義務化は、所有者不明土地問題、空き家問題を解決するための重要な役割を果たすことが期待されている制度です。

一方で、登記名義人が亡くなってから相当な時間が経過し数次相続が発生していたり、亡くなった時期によって適用される法律が異なるなど手続きとしては非常に複雑なケースも多く見受けられます。

長期間放置されている物件の相続登記についてお考えの方は、まず、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

2024年12月

司法書士 日永田一憲

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