相続放棄と管理義務

相続放棄と管理義務

■相続放棄と管理義務

相続の際に、プラスの財産よりも「借金」の方が多いときに、よく利用される「相続放棄」の制度。

裁判所の統計によると、ここ数年は20万件を超える件数が受理されています。

相続放棄をすれば相続財産とは一切関わらなくてよい、というお考えの方も多いようですが、実はそうではありません。

民法の条文では相続放棄をした人についても、一定の場合、相続財産に対する管理義務を負わせる規定があります。

たとえ、、相続放棄をしても、古い家屋や建物が相続財産に含まれる場合は、一定期間その不動産の管理責任を負わなければならないケースがあります。。

【民法9401項】

「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」

実際にいつまで管理責任を負うかはケースによって異なります。

●相続人が1人だけで、後順位の相続人がいない場合

この場合、その相続人が相続放棄しても相続財産を管理しなければなりません。管理義務は「相続財産管理人」が選任されるまで継続します。

●後順位の相続人を含めて全員相続放棄した場合

例えば、亡くなった方の配偶者とお子さんが相続放棄して、亡くなった方の兄弟姉妹が次いで相続人となったが、兄弟姉妹も相続放棄をしたケースが考えられます。

この場合、配偶者やお子さんは、次順位の相続人(兄弟姉妹)に相続財産を引き渡すまでの期間、次順位の相続人は、「相続財産管理人」の選任手続を行うまでの期間、原則として、相続財産への管理義務責任を負うことになります。

 

■相続財産管理人とは

相続人の全員が相続放棄をすると、最終的に相続人が誰もいなくなります。この場合、家庭裁判所は「相続財産管理人」を選任すると定められています(952条)。

相続財産管理人は相続財産の換価処分や、債権者に対する弁済等を行い、最終的に残った財産を国庫に帰属させる業務を行います(959条)。

相続財産管理人が選任されると、相続財産の管理責任は相続放棄をした相続人から相続財産管理人に引き継がれます。

 

■まとめ

以上のように、相続放棄をしても、被相続人の財産については、一定期間(次順位の相続人へ財産を引き渡す又は相続財産管理人選任までの期間)、管理責任を負うことがあります。

特に、相続財産に倒壊の恐れのある古い家屋や建物が含まれる場合は、注意が必要です。

 

2022年12月

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