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鎌倉幕府の基本法で日本最初の武家法である「御成敗式目」は、北条義時の子、時の鎌倉幕府執権である北条泰時によって1232年に定められ、時代によって多少の変化を伴いながら江戸時代まで受け継がれました。
全51条からなる法令の中に、相続に関する条文が6条もあり、当時の武家社会における「相続」の重要性が理解できます。
では、相続に関する条文をみていきましょう。
▲第十八条:讓與所領於女子後、依有不和儀、其親悔還否事
【現代語】
第18条:女子に相続した後の所領を返還(へんかん)させる場合のことについて
男女の違いはあっても親の恩は同じである。これまで女子(娘)には返還の義務はなかったが、今後は相続したあとであっても所領を取り返すことが出来る。これは、後の争いを恐れて女子に相続することをためらったり、女子が親に対して不道徳な行いをすることをおさえるためである。このことが保障されていることによって、相続した女子が親に孝行をし、親は安心して女子を養育(よういく)し、土地を与えることができる。
【解説】
親が子に生前贈与した財産を返してもらうことを悔還(くいかえし)といい、親はいったん分け与えた財産でも返還させることができました。
これまで公家法では女子への悔還(くいかえし)はなかったが、武家法では女子にも適用されました。(26条を参照)
▲第二十条:得讓状後、其子先于父母令死去跡事
【現代語】
第20条:譲り状を与えた子供が死んだ場合のこと
財産の譲り状を与えた子が生きていても相続権を変える場合もあるのだから、子が死んだ場合、御家人は次の相続人を自由に決めてよい。
【解説】
現代の遺言書(生前贈与の場合もあり)のことを「譲り状」といい、財産を譲り受ける子が親より先に死んだ場合は、次の相続人を自由に決めてよいとされました。
▲第二十二条:父母所領配分時、雖非義絶、不讓與成人子息事
【現代語】
第22条:離縁した先妻の子に与える財産のことについて
家のためによく働いた子供(成長した)であるにも関わらず後妻やその子らに追い出されてしまった者には、相続の際に嫡子相続分の五分の一をその子に分け与えること。ただし、離縁前に多少なりともその子に財産が分けられていた場合はその分を差し引いても良い。しかし、その子が怠け者であったり不幸者のときはその必要はない。
【解説】
離婚した先妻の子が後妻やその子らに追い出された場合でも、嫡子の5分の1は相続する権利がある。但し、怠け者や親不孝者には分け与えなくともよいという現代の遺留分のような規定。怠け者かどうかの判断基準はどのように決めていたんでしょうか。難しい。
嫡子=主な財産を継ぐ権利を持つ子供
▲第二十三条:女人養子事
【現代語】
第23条:女人の養子のこと
夫婦に子供が無く、夫が死んでしまった後に養子をむかえ領地を相続させることは、頼朝公の時から認められていることであり何ら問題はない。
【解説】
夫婦に子がなく、夫(当主)が死んでしまった場合には、妻が養子をとり、夫の領地を相続させることは、頼朝公の時代から先例で認められている。
▲第二十六条:讓所領於子息、給安堵御下文之後、悔還其領、讓與他子息事
【現代語】
第26条:相続した土地を別の子供に相続し治すこと
御家人が所領を子供に相続し将軍から証明書をもらっていても、父母の気持ちによって他の子供に相続を替えることができる。
【解説】
親が子に生前に与え、将軍からその証明書が発行されていても、親の権限で取返し、他の子に与えることができました。生前贈与の場合は、親からの求めがあれば返還しなければならないという規定。悔還(くいかえし)という。
▲第二十七条:未處分跡事
【現代語】
第27条:未処分の財産の分配
御家人が相続のことを決める前に死亡した場合は、残された財産を働きや能力に応じて妻子に財産を分配すること。
【解説】
現代の遺産分割協議のこと。わざわざこのような規定を定めるということは、相続のことは生前に決めるのが当然であったと考えられます。また、当事者で話がまとまらない場合は、幕府が介入することも多かったようです。
▲まとめ
以上、6つの条文をみてきましたが、現代の感覚と似ている部分もあれば、かなりかけ離れていると思われる条文もあります。
特に、親がいったん生前贈与した財産を親の権限で返還させることができる、という「悔還(くいかえし)」の規定は今では考えられません。
親不孝者には、非常に厳しい社会だったことが想像できます。
2022年8月
司法書士 日永田一憲
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代表者
司法書士・行政書士
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住
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