判例からみる遺言書無効の判断基準

遺言書無効基準

「生前に言ってたのとちがう」

「誰かが無理やり書かせた」

など、信憑性が疑われる遺言書が出てきたとき、裁判所は、どのような基準で有効無効を判断しているのか、過去の判例(自筆証書遺言)に照らしてそのポイントをみていきましょう。

 

■押印について

・印影が「実印」によるものか否か

遺言書に押印してある印影が「実印」によるものか否かが重要です。

実印なら、民事訴訟法 228 条4 項+最判 S39.5.12(二段の推定)により、有効であると判断される可能性が高まります。

・印影が「家族との共用」である場合

遺言書に押印してある印影が「家族との共用」などである場合は、特に、受益の相続人あるいは受遺者が使用したことのある印影か否かが問題となります。

(最判S50.6.12 )

 

■筆跡について

・筆跡対照資料の有無

客観的に遺言者本人のものであると断言できる資料が必要となります。実印を押捺して印鑑証明書が添付されているような処分証書は有力な判断材料となります。

・筆跡鑑定の有用性の検討

筆跡鑑定の結果を、決定的な根拠とすることはできない。(東京高判平成 30.2.22)

筆跡鑑定に一定の限界があるとされています。

 

■遺言の内容について

遺言者の従前の発言や希望との整合性、遺言者と受遺者・法定相続人との関係が問題となります。

例えば、従前になされた公正証書遺言とは内容がかけ離れていた場合等。

 

■遺言者の自書能力の存否及び程度

・添え手について

添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが、筆跡のうえで判定できる場合には、「自書」の要件を充たすものとして、有効と判断された例。(最判昭和62.10.8)

・意思無能力について

医師の診察を受けているか、介護認定を受けているか、介護施設に入所しているか、在宅あるいは通所サービスを受けているか、認知症状がどの程度あるか、その客観的な証拠資料(カルテ・介護認定資料・介護日誌・サービス提供記録)などが重要な判断材料となります。

 

以上のように、遺言書無効の判断基準は多岐に渡り、一概に有効無効と判断することは非常に困難です。

また、遺言書を書く際には、信憑性を疑われることがないよう、形式内容ともに正確な遺言書を遺すことが重要です。

 

2021年5月

司法書士 日永田一憲

 

未来に向け、安心できる相続を

相続専門の司法書士,日永田一憲

法務大臣認定司法書士 日永田一憲

突然の相続で何から手をつけたらよいか分からない、そんなときは、無料相談をご利用ください

かもめ総合司法書士事務所・鎌倉

0467-39-6827

神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-9-62フォーラムビル2階、鎌倉駅から0.6キロ、若宮大路沿い

営業時間:平日10時~17時半(事前予約で20時までご相談承ります)

相続や遺言、よくあるご質問

相続や遺言の相談だけなら無料ですか?

ご相談は無料です、どうぞお気軽にお問合せください

依頼する前に料金の見積りをお願いできますか?

報酬基準に基づき、報酬金額と諸費用を提示いたします

不動産の名義変更は全国対応ですか?

全国どこの法務局にも登記申請できます

法律サービスを通し、安心と幸せを

当事務所では、相続手続きをスムーズに行うことで、相続人の方のご負担を軽減し、これからのご家族の安心と幸せをサポートすることを使命と考え、日々、業務に取り組んでおります

〒248-0014
鎌倉市由比ガ浜2-9-62
フォーラムビル2階

0467-39-6827

事務所紹介

相続専門の司法書士,日永田一憲

代表者
司法書士・行政書士 
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住

当事務所では、相続手続きをスムーズに行うことで、相続人の方のご負担を軽減し、これからのご家族の安心と幸せをサポートすることを使命と考え、日々、業務に取り組んでおります

新着情報

2021年5月15日
相続問題・事例集、記事追加しました
0467-39-6827に電話する