法務局へ相続登記を申請する際、同時に登録免許税を納付する必要があります。これは相続税のことではなく、不動産登記に課せられる流通税のことです。

近年は、オンライン申請により、インターネットバンキングから電子納付することがほとんどですが、以前は、申請書に収入印紙を貼る方法で納付していました。

 

課税金額の基準になる不動産価格は、固定資産税評価額を用います（相続税とは異なります）。

固定資産税評価証明書は、市区町村役場、都税事務所などで取得できます。

税率は、相続の場合、不動産評価額の「1000分の4」です。

 

■戸建ての相続登記（土地1筆、建物1棟）

被相続人が土地・建物の所有者で相続人が相続するケース

• 土地1筆：1000万円
• 建物1棟：1000万円

まず、土地と建物の価格を合計します。

土地価格1000万円+建物価格1000万円=2000万円

次に、税率を乗じます。

2000万円×4/1000=8万円

よって、登録免許税は「8万円」となります。

 

また、不動産が共有の場合は、移転する対象となる持分割合で計算します。

被相続人の持分が「2分の1」であれば、土地と建物の合計価格に2分の1を乗じて計算します。

 

■マンション（敷地権付区分建物）の相続登記

被相続人がマンション1部屋の所有者で相続人が相続するケース

専有部分1部屋：1000万円

敷地1筆：3億円

敷地権割合1/100

まず、土地全体の価格に敷地権割合を乗じます。

3億円×1/100＝300万円

この価格に建物の専有部分の価格を足します。

300万円＋1000万円＝1300万円

次に、税率を乗じます。

1300万円×4/1000＝5万2000円

よって、登録免許税は「5万2000円」となります。

 

■まとめ

• 相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の1000分の4
• マンションの場合は、土地の評価額に敷地権割合を乗ずる
• 持分移転の場合は、持分割合を乗ずる

次回は、私道（公衆用道路）がある場合の登録免許税の計算方法を解説します。

 

2020年6月

司法書士　日永田一憲