遺言書保管制度の概要

遺言書保管制度

民法改正により、令和2年7月10日からスタートする「遺言書保管制度」の概要について、3月31日、法務省より発表がありましたので、分かりやすくまとまてみました。(法務省ホームページより抜粋)

■遺言書の保管の申請

  • 申請できるのは様式に従って作成された封のされていない自筆証書遺言書のみ
  • 管轄は、住所地・本籍地・所有不動産の所在地の遺言保管所(すべての法務局が保管所となるわけではない)
  • 申請人が自ら出頭して申請、厳格な本人確認あり

保管の申請の対象となるのは,民法第968条の自筆証書によってした遺言(自筆証書遺言)に係る遺言書のみです(第1条)。また、遺言書は、封のされていない法務省令で定める様式(別途定める予定です。)に従って作成されたものでなければなりません(第4条第2項)。

遺言書の保管に関する事務は、法務局のうち法務大臣の指定する法務局(遺言書保管所)において、遺言書保管官として指定された法務事務官が取り扱います(第2条,第3条)。

遺言書の保管の申請は、遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所の遺言書保管官に対してすることができます(第4条第3項)。

遺言書の保管の申請は、遺言者が遺言書保管所に自ら出頭して行わなければなりません。その際、遺言書保管官は、申請人が本人であるかどうかの確認をします(第4条第6項,第5条)。

 

■遺言書保管官による遺言書の保管及び情報の管理

  • 遺言書保管官が原本と画像情報を保管

保管の申請がされた遺言書については、遺言書保管官が、遺言書保管所の施設内において原本を保管するとともに、その画像情報等の遺言書に係る情報を管理することとなります(第6条第1項,第7条第1項)。

 

■遺言者による遺言書の閲覧,保管の申請の撤回

  • 遺言者は、保管されている遺言書の閲覧請求及び撤回ができる
  • 遺言者生存中は、遺言者本人以外は誰も閲覧できない

遺言者は、保管されている遺言書について、その閲覧を請求することができ、また、遺言書の保管の申請を撤回することができます(第6条,第8条)。保管の申請が撤回されると、遺言書保管官は、遺言者に遺言書を返還するとともに遺言書に係る情報を消去します(第8条第4項)。

遺言者の生存中は、遺言者以外の方は、遺言書の閲覧等を行うことはできません。

 

■遺言書の保管の有無の照会及び相続人等による証明書の請求等

  • 死亡している者について遺言書が保管されているかどうかの証明書の交付請求をすることができる
  • 遺言者の死後、相続人、受遺者等は原本、画像情報の閲覧請求できる

特定の死亡している者について、自己(請求者)が相続人、受遺者等となっている遺言書(関係遺言書)が遺言書保管所に保管されているかどうかを証明した書面(遺言書保管事実証明書)の交付を請求することができます(第10条)。

遺言者の相続人、受遺者等は、遺言者の死亡後、遺言書の画像情報等を用いた証明書(遺言書情報証明書)の交付請求及び遺言書原本の閲覧請求をすることができます(第9条)。

遺言書保管官は、遺言書情報証明書を交付し又は相続人等に遺言書の閲覧をさせたときは、速やかに、当該遺言書を保管している旨を遺言者の相続人、受遺者及び遺言執行者に通知します(第9条第5項)。

 

■遺言書の検認の適用除外

  • 家庭裁判所での検認は不要

遺言書保管所に保管されている遺言書については、 遺言書の検認(民法第1004条第1項)の規定は、適用されません(第11条)。

 

■手数料

遺言書の保管の申請、遺言書の閲覧請求、遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付の請求をするには、手数料を納める必要があります(第12条)。

遺言書の保管の申請 3,900円
遺言書の閲覧の請求(モニター) 1,400円
遺言書の閲覧の請求(原本) 1,700円
遺言書情報証明書の交付請求 1,400円
遺言書保管事実証明書の交付請求 800円
申請書等・撤回書等の閲覧の請求 1,700円

手数料・遺言書保管所の一覧はこちら(法務省のサイト)

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00010.html

 

■遺言書の保管の申請の却下

  • 本人以外の申請は却下される

遺言書保管官は、遺言書の保管の申請が遺言者以外の者によるものである場合等には、理由を付した決定で、当該申請を却下することとなります(第2条)。 

 

■遺言者の住所等の変更の届出

  • 住所に変更があった場合は届け出が必要

遺言者は、保管の申請をした遺言書が遺言書保管所に保管されている場合において、遺言者の住所等に変更が生じたときは、速やかに、その旨を遺言書保管官に届出をする必要があります(第3条)。

 

■遺言者による遺言書保管ファイルの記録の閲覧

遺言者は、遺言書保管官に対し、いつでも、保管の申請をした遺言書に係る遺言書保管ファイルに記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求をすることができます(第4条)。

 

■遺言書の保管期間

  • 遺言者死亡の日から50年、生死があきらかでないときは出生の日から120年

遺言書保管法第6条第5項(法第7条第3項において準用する場合を含む。)の遺言者の生死が明らかでない場合における遺言者の死亡の日に相当する日として政令で定める日は,遺言者の出生の日から起算して120年を経過した日です(第5条第1項)。遺言書保管法第6条第5項(法第7条第3項において準用する場合を含む。  )の相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間は、遺言書については50年、遺言書に係る情報については150年です(第5条第2項)。

 

■遺言書情報証明書の送付請求

遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する場合において、その送付を求めるときは、当該送付に要する費用を納付する必要があります(第6条)。

 

■遺言書の保管申請書等の閲覧

遺言者は、特別の事由があるときは、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請に係る申請書又はその添付書類等の閲覧の請求をすることができます(第10条第1項、第2項)。

 遺言者の相続人等は、当該遺言者が死亡している場合において、特別の事由があるときは、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請に係る申請書又はその添付書類等の閲覧の請求をすることができます(第10条第3項、第4項)。

 

■まとめ

  • 申請には本人が出頭する(代理人、郵送はダメ)
  • 遺言保管所の管轄が定められている
  • 保管できるのは様式に適した自筆証書遺言のみ
  • 遺言者は保管の申請を撤回できる
  • 遺言者生存中は本人以外閲覧できない
  • 家庭裁判所での検認は不要

 

その他、申請書の書式や手続き方法については、随時、法務省より公表される予定です。

 

2020年4月

司法書士 日永田一憲

 

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日永田一憲(ひえだかずのり)
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