相続制度の変遷が日本史を変えた

相続制度の変遷

■相続という言葉は仏教用語

相続とは、もともと仏教用語で、相(すがた)を続ける、つまり非連続の連続、という意味だそうです。

いつのころからか、ある人の財産・権利・義務を特定の人が引き継ぐことを指すようになりました。

日本の歴史の中で相続制度の変化は、社会システムと影響し合い、時代のうねりを作る要因にもなりました。

そんな日本の相続制度の推移を見ていきましょう。

 

■鎌倉時代(及びそれ以前)

【貴族の相続】

嫡子の単独相続

通常、

・主に嫡子による単独相続

・嫡子以外は寺院で出家し、年貢の一部が給付される

・嫡子以外が他家に養子に行く

となっていました。

 

【武家の相続】

惣領制+分割相続制度

以前のコラムでも紹介しましたが、

当時の相続制度の基本は惣領制(そうりょうせい)+分割相続でした。

「惣領制」とは「惣領」を中心に武家一族がまとまる制度で、戦時には惣領の下で団結する戦闘集団となります。

さらに複数の武家一族が集合し、武士団を形成するのです。

相続の対象は主に所領(土地)やそれに付随する地頭職です。

制度としては、

  • 一族を統率する能力のある者が惣領となって主要部分(本家)を継承相続
  • 惣領以外の男子や女子が残った所領を分割相続

となっていました。

しかし世代が下り、所領が細分化されると、弱小領主は家を分立できず生活に困り、惣領の家臣となる者も出てきます。

鎌倉時代後期には、生活苦のなかで御家人の義務を果たすことに不満を持つ小規模領主も増え、時代は倒幕へと向かいました。

 

■室町時代・戦国時代

最優秀者(強者)による単独相続

1333年鎌倉幕府が倒れ、後醍醐天皇による建武の新政が行われます。

しかし、それは公家優遇社会の復活となっただけで、多くの武家は不満でした。

そこで足利尊氏が室町幕府を開き、武家中心の社会へと戻します。

新たな相続制度には、分割相続がありませんでした。

つまり、

  • 女子への相続を制約
  • 嫡子・庶子の中で最も才能ある者、優れた者一人が選ばれ、単独相続

としたのです。

ところが今度は、相続権を争う兄弟に、家族・親族・家臣が巻き込まれていく戦乱の時代となりました。

1467年には応仁の乱が起き、国は大きく混乱。戦国時代となり、下克上も、裏切りも、なんでもありのパワーゲームの世の中となり、相続制度が確立されないまま「強い者が相続」する時代となりました。

 

■江戸時代

嫡子による相続

戦国時代の相続争いの原因は、たくさんの子のなかから1人だけに相続させようとしたからでした。

そこで、兄弟で争うことがないよう「嫡子だけによる家督相続」の制度が定められました(生まれながらにして決まっていた)。

幕府は儒学を勧めて嫡子の家督相続を正当化し、大名たちを統制しやすくコントロールしたので、政権は安定しました。

 

■明治時代~昭和戦前

嫡子による家督相続

1898年帝国憲法の下に、旧民法ができました。

先進的欧州の法律を取り入れながら、政府は富国強兵を目的に、徴兵制・地租改正を進めるための「戸籍制度」を採用。

そして、

親族・相続に関しては「家父長的家制度」のもと、前時代の「嫡子による家督相続」を続行しました。

つまり、戸主が家の統率者であり、長男が家の財産と家族員に対する統率権などの家督を相続したのです。

現在でも地方では「本家」と呼ばれる家が多く残っており、それなりの影響力があるようです。

 

■太平洋戦争後

諸子均分相続制

昭和に入っても明治時代からの「嫡子による家督相続」は続きましたが、太平洋戦争での敗戦後、男女の本質的平等を基礎とする日本国憲法が制定され、相続制度もがらりと変わります。

1948年には家督相続が廃止。

「死亡による遺産(財産)相続制度」となり、隠居制度がなくなりました。

主な変更点としては、

  • 配偶者相続権の強化
  • 長子単独相続制(長男一人の相続)から諸子均分相続制(兄弟での均等な分割)へ
  • 祭祀財産(系譜、祭具、墳墓の所有権)を相続財産から分離した(家の跡継ぎと財産は別)

のち、「特別縁故者制度」「配偶者相続分の引き上げ」「寄与分制度の新設」などが盛り込まれ、現代の相続制度に至ります。

 

2019年12月

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2021年5月15日
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