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【遺言書に失敗は許されない】
失敗は成功のもと、よく耳にする言葉の一つですが「遺言」にはあてはまりません。
なぜなら、機会は一度きりで、当然、そのとき自分はすでに亡くなっているわけで、次回に失敗の経験を活かすどころか、ミスのフォローのしようもありません。
これまで多くのの遺言に基づく相続手続きを行ってきましたが、その中でも遺言書に不備があり、遺言者の希望どおりにに相続手続きをすすめれらないことが何度かありました。
まず、自筆の遺言書について。
遺言書の形式は民法において定められていて、なんとなく書いてしまっては、形式的にアウトになってしまう事も多々あります。たとえば、日付や署名の仕方など。
では、公正証書なら完全に大丈夫か?というと必ずしもそうではありません。公正証書遺言は公証人が作成しますので、形式的な点では、まず間違いはないと思っていいでしょう。
しかし、公証人は遺言者からの聞き取とりをもとに遺言書を作成しますので、実体的なことまでは、調査が及びません。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
■失敗例①金融資産編
「遺言者Aは、遺言者の所有する全ての預貯金・株式を妻Bに相続させる」
遺言者であるご主人としては、
「銀行や証券会社に預けてある金融資産の全部を奥様に相続させたい」
という意思であったと思われます。生前、推定相続人である奥様もそのように聞いており、遺言書があるから万が一の時も安心、と思っていました。
しかし、実際に銀行などで相続財産を調査してみると、金融資産の中にはかなりの額の「国債」が含まれていることが分かりました。国債は、預貯金でも株式でもなく「債券」にあたります。債券という文言は、この遺言書には記載されておりません。
実際に、相続手続きの段階で金融機関側から「この遺言書では、国債の分については、応じられません」とキッパリと断られてしまいました。
そんな固いこと言わないでください、と思いましたが、固さが取り柄の金融機関としては当然の対応といえるでしょう。
結局、国債については、相続人全員で遺産分割協議をしなければならなくなりました。
最終的には、遺産分割協議を成立させることができましたが、時間、費用、手間がかかり、相続人である奥様の精神的な負担が倍増したことは言うまでもありません。
では、どのような書き方なら問題なく手続きができたのか。
例1、
「遺言者Aは、遺言者の所有する預貯金・株式・債券・投資信託等(金融商品の名義問わず)の全ての金融資産を妻Bに相続させる」
遺言書を書く段階では、資産が「預貯金・株式のみ」であっても、今後どのように資産構成が変化するか分かりませんので、このように幅広く書いておくといいでしょう。
または、もっとシンプルに
例2、
「遺言者Aは、遺言者の所有する全ての財産を妻Bに相続させる」
ほかに財産を相続させたい方がいなければ、このような書き方でも大丈夫です。
■失敗例②自宅不動産編
「遺言者Cは、遺言者の所有する下記不動産を長男Dに相続させる。不動産の表示 土地・・・建物・・・」
勉強家のCさんは、書籍やインターネットの情報を参考にし、ご自分で遺言書の文案を考え、公証役場で公正証書にしました。
現在、家族の仲は悪くないが、今後どうなるか分からない、相続を機に争いがおこって、自宅不動産をを売却しなければならないような事態を避けるため、相続人の一人であり、同居している長男のDさんに相続させよう、という趣旨。
不動産の表示も通常の住所ではなく、きちんと登記簿上の所在・地番で書かれておりました。毎年、自宅に送られてくる固定資産税の通知書を参考にされたそうです。しかし、ここが落とし穴。
この遺言書の不動産の表示には、私道部分が書かれていませんでした。
固定資産税の通知書には、私道部分などの課税されていない土地については、記載されていませんし、また、道路を所有しているという感覚もなかったのかもしれません。
幸い、他の相続人の協力を得、遺産分割によって、問題なくご長男のDさんが相続することができました。
しかし、遺産分割ができなかった場合、私道部分だけが相続人全員の共有、という事態にもなりかねません。
所有する不動産についての遺言書を作成する際には、
・不動産の権利証
・登記事項証明書(共同担保目録付)
・固定資産評価証明書及び名寄帳
これらの資料は必ず調査すべきです。
【まとめ】
以上のように、遺言書には、ご自分では気づかない落とし穴が多く隠されています。作成する際には、専門家に相談されたほうがより安心できると思います。
2013年12月
司法書士 日永田一憲
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かもめ総合司法書士事務所
代表者
司法書士・行政書士
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住
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