小規模宅地等の特例(自宅の敷地についての相続税減税制度)

相続財産中、不動産の占める割合は、55%~60%といわれています。

今回は、その中でも該当する方が多いと思われる居住用等の宅地(主に自宅の敷地)に対する相続税の減税制度小規模宅地等の特例について説明いたします。

小規模宅地等の特例とは、被相続人の居住用や事業用等の宅地を相続等により相続人が取得した場合に一定の要件のもと相続税の課税価格について一定割合減額(居住用の宅地については80%減額)できる制度のことです。

まず、平成27年の相続から、特例の対象とされていた宅地の面積が、居住用の宅地について240㎡から330㎡(約100坪)まで拡大されました。

例えば、亡くなられた方が相続開始時に1㎡あたり30万円の土地を330㎡所有していたとすると、この特例適用前の課税価格は、30万円×330㎡=9900万円。

平成26年までの相続の場合、240㎡までの部分が80%減額となるので、30万円×0.8×240㎡=5760万の部分が減額とされ、課税価格は9900万円-5760万円=4140万円まで減額。

これが平成27年の相続からは、330㎡まで80%減額となるので、30万円×0.8×330㎡=7920万円(全体の80%)。課税価格は9900万円-7920万円=1980万円まで減額されます。

相続税の基礎控除枠が減少した平成27年以降、特に地価の高い地域ではこの制度の適用の有無によって、相続税の納税額に大きな差が出ることも珍しくないでしょう

ただし、この特例を受けるためには一定の要件があります。

そもそも、小規模宅地等の特例は、相続によって相続人のそれまでの生活基盤である居住や事業の継続を侵されないために相続人を保護することを目的に作られたものです。
例えば、財産を相続し相続税を負担するために、それまで被相続人と同居し生活の基盤としていた家を手放さなければならないというようになってしまうと、相続人にとっては大きな痛手となってしまいます。
そこで、そのようなケースを減らすため、相続税の課税価格を減額し相続人を保護しようとするためのものなので、要件もそれに準じたものになってきます。

まず、相続人についての要件ですが、配偶者については無条件に適用されます。

子が相続した場合は、それまで被相続人と同居していたか否かで適用条件が変わってきます(同居要件)。

相続開始時に、被相続人と同居していた子については、相続後相続税申告期限までに売却などせずに相続した後もその不動産に居住していれば適用が受けられます。

同居していない子については、相続開始前3年以内に本人または配偶者が所有する不動産に居住したことがないこと等が要件となります。つまり、自分もしくは配偶者に持家があると特例を受けることができません。

例えば、被相続人Aの相続人が子2名(B・C)の場合、Bは被相続人と別居し自分の持ち家に住んでおり、被相続人と同居していたのがCだけということであれば適用されるのもCだけということになります。

次に、平成26年から既に改正されている相続人の要件以外の点について説明いたします。

まず、二世帯住宅についての玄関の数や内部の構造上の要件が大幅に緩和され、その敷地は原則として適用可能になりました。ただし、区分所有の場合は、被相続人の居住の用に供していた部分のみ適用となります。

また、被相続人が老人ホーム等に入居中に死亡したケースについても要件が緩和され、終身利用権等を取得し有料老人ホームなどに入所した場合も適用を受けることができるようになりました。ただし、自宅を他人に貸していたり、生計を同一にしない親族が入所していたりすると適用を受けることができないことがあるので注意が必要です。

このように、小規模宅地等の特例の適用を受けるには、様々な用件がクリアされていなければなりません。状況によっては相続開始後では遅かった・・ということにもなりかねません。適用を受けるためには、生前から適用要件を確認し、そのための対策をしておくことが大切になってくるでしょう。

 

2015年4月

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