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【相続放棄は3カ月が原則】
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし・・・(民法第915条第1項)※1
今回は、3か月どころか相続開始から10年以上経っていたケースを紹介します。
【10年以上前から滞納】
ある日、ご年配の男性の方から相談を受けました。
その方の自宅に何の前触れもなく、突然、裁判所から訴状が届き、不安な気持ちで内容を確認してみると、マンションの管理組合から管理費等が滞納になっている、という事。
何のことか分からず訴状を読んでみると、祖父の妹さんの名前が出てきました。しかし、この方はずいぶん前に亡くなっているはず。
読みすすめているうちに、どうやら祖父の妹さん所有のマンションの管理費等の請求をされているようです。でも、何故?生前にもお会いしたことがない私のところへ訴状が届くのか?
実は、被相続人(祖父の妹さん)が亡くなられた後、不動産の名義変更をせずに、相続人の一人がそのマンションに住み続けていましたが、その方も亡くなってしまい管理費等は支払われていない状態になっていました。
被相続人には、子供がいなかったため、兄弟姉妹が相続人となりましたが、その時点で遺産分割などの相続手続を何もしていなかったため、数次相続が発生し、結果、相続人であり、法律上は共有者となっている被告の人数が20人以上。※2
余談ですが、原告代理人のほうも調査が大変だったと思います。
とりあえず、原告代理人に連絡をとってみると、「家庭裁判所に相続放棄をしてくれれば、その方の分は取り下げることができます」という貴重なご意見。たしかに、原告としてもそのほうが楽でしょう。
また、被告の立場としても今後のことを考えると、きちんと相続放棄を申述して被相続人との法的な関係を断ちたいところです。
相続放棄の要件(法定単純承認とみなされない)としては、
などがあげられます。
まず、財産の処分についてですが、被相続人とほぼ面識がなかったので、問題なくクリアと考えていいでしょう。
次に期間ですが、条文上は「相続の開始があったことを知った時から」となっていますが、実務上は「被相続人の債務があることを知った時から」という運用がなされております。※3
さすがに、今までに相続開始から10年以上経過した件は申し立てしたことはなかったですが、これまでの経験からなんとか受理してもらえそうな自信がありました。
【管轄が不明】
しかし、今回の問題は管轄。原則として、相続放棄は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てをすることになります。戸籍には住所は記載されておりませんので、申立の際には被相続人の住民票の除票や戸籍の附票を添付することになりますが、どちらも保存期間が過ぎており取得することがでず、住所を証明するものが何もありません。
まずは、最後の住所地と思える場所を管轄しているA市の家庭裁判所にすでにこの件で相続放棄がされているかの照会をしましたが、結果はなし。
そこで、悩みに悩んで、戸籍の記載と戸籍法25条、88条を根拠に「A市で死亡したと推定される」という内容の上申書を添付して申し立てをしましたが、後日、家庭裁判所の書記官から「この上申書だけでは受理できない」と連絡がありました。
困ったなぁ、と思いつつ「例えば、どんな書類があれば受理していただけますかね?」と探りを入れてみると、「被相続人と親しかった相続人やご近所の方の証言があれば・・」と助け舟を出していただきました
早速、被相続人と親しかったと思われる相続人の方から聞き取り調査を行い、被相続人はA市で死亡したことは間違いない旨の上申書を提出したところ、相続放棄の申述を受理してもらうことができました。
これで一件落着。ホッとしました。
それにしても、まさか管轄でこんなに悩むとは、、、思いもよらぬ展開でした。
2013年12月
※1相続開始のとき(死亡日)ではなく、相続を知った日から3か月
※2遺産分割協議などをせず、放置しておくと相続人全員の共有状態となります
※3あくまでも裁判所の運用次第です
2013年12月
司法書士 日永田一憲
相続放棄について裁判所のサイトはこちら
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
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代表者
司法書士・行政書士
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住
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