突然、亡くなったご主人の借金の請求が来た

【怪しげな請求書が届いた】

ある日、高齢のご婦人から相談がありました。

長年、別居生活をしていたご主人が病気で亡くなり、四十九日も過ぎたころ、突然、一通の「怪しげな封書」がご自宅に届きました。

差出人の会社名には心当たりがなく、不安な気持ちで封を開けてみると、「亡くなったご主人にお金を貸しているので、代わりに相続人の方が返済してください」という内容。亡くなったご主人が放置していた借金で経過利息を含めると相当な金額に、ただただ驚くばかり。

すぐに「はい、そうですか」と支払える額ではありません。さらに問題を複雑にしたのが自宅マンションでした。現在、奥さんとお子さんが住んでいるご自宅は結婚当初、夫婦二人で住宅ローンを組んだため、ご主人と奥さんの共有名義になっています。

しかし、この不動産、実際は、住宅ローンのほとんどを奥さんが支払い、完済した物件(担保権はすでに抹消済み)。ご主人の生前に、奥様の単独所有に名義変更をすることも考えましたが、手続きが面倒でそのままの状態にしていました。

 

【相続承認か相続放棄か・・】

「もしかすると、まだ他にも亡くなった主人の借金が出てくる可能性があるので、できれば相続放棄をしたい・・しかし、放棄をすると自宅のご主人の持分を相続することができなくなってしまう・・」

相続することを選択した場合、借金が多額で返済できない場合は破産の可能性も。

どちらの方法を選択しても八方ふさがり。

最悪の場合、自宅を手放さざるを得ない、というかなり厳しい状況です。

そこで対策を立てるべく、問題点を整理しました。

■別居していた夫の借金は法的には払わなければいけないのか?

■たとえ別居していても、離婚していない限り、配偶者は相続人となるため、返済義務が生じます。

ただし、家庭裁判所へ申し立てをして、相続を放棄することも可能です。

もちろん、相続放棄をした場合は、もともと相続人でなかったことになるので、不動産や預貯金などプラスの財産も相続できません。

この状況で、亡くなったご主人から何も相続する財産がなければ、迷わず相続放棄すべきでしょう。

しかし、今回の件は自宅マンションの共有持ち分があります。話し合いを重ね、様々なケースを検討した結果、亡くなったご主人の借金を払ってでも、自宅を相続する方針で、手続きに入りました。

まずは、家庭裁判所に熟慮期間の伸長願いを出し、期間を3か月間延長。

相続放棄の申述は、原則として、相続の開始があったことを知ったときから三箇月以内にしなければならないことになっています。

今回のケースでは、相続開始から既に2か月近く経過していたので、時間的余裕を確保するための対策です。

 

【消滅時効援用】
 
次に、債務状況の調査。

亡くなったご主人の債権者あてに通知を送り、送られてきた取引の履歴を確認。

確かに借金は残っていましたが、「最終取引の日から5年以上経過している」ことが判明しました。

早速、債権者あてに消滅時効(商法第522条)援用の通知を送り、債務不存在の確認を行いました。

これでもうこの借金については、返済しなくても大丈夫。

心配されたそのほかの借金は、期間ギリギリまで待ってみても、請求らしきものは来ていません。

結局、相続放棄の申述はせずに、相続登記を完了させ、ご自宅を奥さん名義に変更することができました。

2014年1月

司法書士 日永田一憲

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日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住

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