相続時預貯金口座照会制度とは

相続時預貯金口座照会制度とは|司法書士がわかりやすく解説

相続時預貯金口座照会制度

相続のご相談の中で、故人がどの金融機関にどれだけ預貯金を持っていたのかが分からず、不安を抱えられる方は少なくありません。

特に単身で生活されていた方の場合、通帳やカードが見つからないケースも多く、預貯金の調査に多くの時間がかかってしまいます。

こうした負担を軽くするために設けられたのが、「相続時預金口座照会制度」です。

この制度は、故人の預貯金口座にマイナンバーが付番されている場合に限り、相続人が口座の所在を把握しやすくなる仕組みです。

司法書士として相続手続きをお手伝いする立場から、制度の内容や注意点を、できるだけやさしく整理してお伝えいたします。

 
 
制度の概要

相続時預貯金口座照会制度とは、故人が生前に「マイナンバーを金融機関に登録していた口座」を対象に、相続人が一括して口座の所在を確認できる仕組みです。

従来は、相続人が思い当たる金融機関へ一件ずつ問い合わせる必要がありましたが、この制度により、複数の金融機関にまたがる調査を効率よく進められるようになりました。

制度を利用することで、相続人が抱える「そもそもどこに口座があるのか分からない」という不安をやわらげることができます。

● 目的

制度の目的は、相続人が故人の預貯金の状況を正確に把握し、遺産分割や相続税申告を円滑に進められるようにする点にあります。

預貯金の所在が分からないまま遺産分割を進めてしまうと、後から口座が見つかった場合、分割協議のやり直しという事態もあり得ます。この制度は、相続手続き全体の見通しを立てるうえでも役に立つものです。

● 照会先

照会先は、故人がマイナンバーを登録していた金融機関です。銀行、信用金庫、信用組合、ネット銀行など、対象となる金融機関は幅広く、全国の多くの金融機関が制度に対応しています。

ただし、すべての金融機関が対象ではありません。また、故人が付番を行っていない口座は照会できませんので、制度の限界を理解しておくことが大切です。

● 通知内容

照会の結果として分かる内容は、次のような「口座の所在情報」です。

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 口座種類

一方で、「残高」「入出金履歴」などの情報は通知されません。残高証明書が必要な場合は、照会結果をもとに個別の金融機関へ追加で依頼する必要があります。

● 対象期間

相続時預貯金口座照会は、相続開始(死亡)から 10年以内 の期間で申請が可能です。死亡から時間が経つほど手続きが進みにくくなることがあるため、相続が始まった段階で早めに検討されることをおすすめします。

 
 
 マイナンバーとの紐づけ

この制度の要件は、預貯金口座とマイナンバーの紐づけ(付番)です。

以下の点をご理解いただくことが大切です。

  • 付番は「任意」であり、故人が生前に登録していなければ制度の対象にならない
  • 付番されていない口座は照会できない
  • 別人との混同を避けるため、マイナンバーを用いて正確に名寄せができる

制度を利用するには、故人が生前に付番手続きを行っていたことが必要です。

 
 
利用方法

制度の申請は、対応している金融機関で行います。流れは次のとおりです。

  • 相続人が、金融機関窓口で「相続時預貯金口座照会」の申請書類を提出する
  • 金融機関が、代理で預金保険機構へ照会を依頼する
  • 預金保険機構が結果をとりまとめ、相続人へ「照会結果通知書」を郵送する
  • 相続人は結果を踏まえ、個別に残高照会や手続きを行う

申請方法は一般の方には分かりづらい部分も多いため、司法書士がサポートすることで安心して手続きを進めることができます。

 
必要書類

申請には、以下の書類が必要です。

  • 故人の死亡が確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 相続人であることを確認できる書類(戸籍謄本など)
  • 申請者の本人確認書類(運転免許証等)
  • 金融機関所定の申込書

手数料は、1件につき5,060円(税込)、もし、口座が一件も見つからなかった場合でも返還はされません。

書類の不足や不備があると受け付けてもらえないことがあるため、事前に確認しながら準備されることをおすすめします。

 
 
注意点

制度を利用される際には、次の点に気を付ける必要があります。

●付番されていない口座は対象外

生前にマイナンバーを登録していない口座は照会できません。

相続人が想定していた口座が通知に出てこない場合は、個別に金融機関へ問い合わせが必要です。

●残高証明書・取引明細は別途取得

通知されるのは「口座が存在する」という情報であり、残高は分かりません。

遺産分割や相続税申告には残高証明書が必要となるため、併行して手続きを進める必要があります。

●申請が口座凍結のきっかけになることがある

金融機関は、相続時の照会を受けると、口座名義人が亡くなったことを確認し、口座を凍結することがあります。

凍結された場合、相続手続きが完了するまで出金ができなくなるため、相続人間での調整を早めに進めることが大切です。

●対象外の金融機関がある

すべての金融機関が制度に参加しているわけではありません。

 
 
司法書士等の専門家に相談するメリット

一般の方が金融機関で預貯金の調査を行うのは、なかなか骨の折れる作業です。

司法書士等の専門家にご相談いただければ、必要書類の準備、申請方法、残高証明書の所得など相続手続きの流れを一貫してサポートできます。

相続手続きには、不安や疑問が尽きないものです。ご不明点などございましたら、司法書士等の専門家へお気軽にご相談ください。

 

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