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「しっかりと貯めて、将来に備えることが大切です」
これは多くの人が子どもの頃から教わってきた価値観かもしれません。もちろん、備えがあることで安心感を得られるのは事実です。しかし、相続業務に携わっていると、「亡くなったときが人生で一番のお金持ちだった」という例を数多く見かけます。
そんなときは、つい「こんなにあるのになんで使わなかったんだろう? もっと楽しめばよかったのに…」と思ってしまいます(余計なお世話ですが)。
また、遺された財産を巡って家族同士が争ったり、多額の相続税を課せられたりすると、「遺された相続人は本当に幸せなのか?」と考えさせられる場面も少なくありません。
相続は「お金を遺すこと」そのものが目的ではなく、「どう生き、どう伝え、どう使ってもらうか」というストーリーが重要です。今回は童話「アリとキリギリス」の世界をヒントに、これからの相続と生前対策について考えてみましょう。
「アリとキリギリス」は、夏の間にせっせと食糧を貯めたアリと、遊んでいたキリギリスの対比を描いた物語です。昔から「将来に備えるアリの姿が正しい」と教わってきた方も多いでしょう。
実際の相続対策でも、将来に備え「できるだけ多く貯めておく」「資産を減らさない」ことが第一に考えられてきました。
しかし、近年では、アリのように少しでも増やして「貯めることがゴール」になっている相続対策に対して、亡くなるまでに「上手に減らす」という考え方も見受けられるようになってきました。
アメリカでベストセラーとなった書籍『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね。)』では、「死ぬときにお金を残すのではなく、人生を楽しみ、使いきる」という哲学が提案されています。
著者のビル・パーキンス氏は、資産を最大化することではなく、「経験を最大化すること」を重視しています。働ける時期には働き、元気なうちに旅をし、子どもが若いうちに支援する。つまり、“お金を最も価値あるタイミングで使う”という発想です。
日本では「親の資産を当てにするのはよくない」という考え方が根強く残っている影響か、親が高齢になっても資産を子どもに渡さず、特に目立った支援をしないまま相続開始となるケースも見受けられます。
DIE WITH ZEROの考え方は、老後資金や財産承継、相続といったテーマを改めて考えるきっかけになります。お金を遺すだけでなく、「生きているうちに役立てる」選択肢を、早い段階から取り入れていくことが求められています。
もちろん、老後の備えは必要です。インフレなどを考えると、年金だけで暮らすのは難しいかもしれません。医療や介護の費用、思いがけない支出があることも事実です。
しかし、問題は「どれくらい備えるか」です。将来が不安だからといって、必要以上に資産を抱え込み、結果的に何も使わずに亡くなってしまうというケースも、実際に多く見てきました。
例えば、65歳で定年退職し、数千万円の退職金を受け取った方が、その退職金には手を付けず、年金の範囲内でつつましく暮らし、85歳で亡くなったときに退職金は一円も減っていなかったという例もあります。
老後資金は「不安の大きさ」ではなく、「実際の生活の実態」に合わせて見直すことが大切です。そして、使う予定がない部分は「どう活かすか」を考えるべきです。
生前贈与は、税金対策だけではなく、「財産の活かし方」について家族で話し合う良い機会でもあります。
とくに近年は、平均寿命が伸びたことによって親が亡くなる年齢が80代後半、相続人である子どもがすでに50代や60代というケースが多くなっています。つまり、本来お金が一番必要な30代、40代の子育て世代には、なかなかお金が届かないという現実があります。
このような状況では、相続開始を待つのではなく、子や孫が最もお金を必要としているタイミングで支援できる生前贈与が非常に有効です。
例えば、教育資金、住宅取得、起業資金など、具体的な目標に向けて資金を援助することで、生きているうちに家族の未来に貢献することができます。
贈与には「暦年贈与」や「相続時精算課税制度」、「住宅取得資金贈与」など、さまざまな選択肢があります。上手に特例を利用できれば、贈与税を払わずに贈与できるケースも多くあり、国としても若い世代への財産移転を後押ししていることが分かります。
また、「全部贈与してしまったら手元が不安…」という方には、分割贈与や、信託制度を活用する方法もあります。
これらの制度には複雑な部分もありますので、専門家である司法書士や税理士に相談しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。
質素に暮らし「アリのように貯めること」が決して悪いわけではありません。しかし、その貯めた財産を、“誰のために、どう活かすか”まで考えなければ、本当の意味での相続準備とは言えません。
これからは、元気なうちに楽しむ、元気なうちに子どもや孫に支援する、子どもたちと共に考え、家族の未来をいっしょに作っていくことが大切になってくるでしょう。
それは遺された財産を分け合うだけの「相続」ではなく、「生きているうちにこそできること」を大切にした財産の使い方です。
相続は「終わり」ではなく、「つなぐこと」です。「アリとキリギリス」の物語をヒントに、自分らしい“財産の減らし方と遺し方”を考えてみませんか?
2025年5月
司法書士 日永田一憲
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かもめ総合司法書士事務所
代表者
司法書士・行政書士
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住
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