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子どもがいない夫婦の相続では、配偶者のほかに兄弟姉妹や甥姪が相続人になることがあります。そのため、配偶者を守るための相続対策として遺言書の作成が重要になります。
子どもがいない夫婦の相続では、遺言書の有無によって相続手続きの進み方が大きく変わります。
多くの人が「夫婦のどちらかが亡くなれば、配偶者がすべて相続する」と考えています。しかし実際には、子どもがいない夫婦の相続では、配偶者だけでなく、兄弟姉妹や甥姪などが相続人になるケースが少なくありません。
その結果、相続人の人数が増え、遺産分割の話し合いが難しくなることがあります。配偶者が安心して生活を続けるためには、事前の準備が重要になります。その準備の中心となるのが遺言書です。
このコラムでは、子どもがいない夫婦の相続の特徴と、遺言書の必要性について分かりやすく解説します。
続人の範囲は民法によって定められています。配偶者は常に相続人となり、配偶者に加えて被相続人の一定の親族が相続人となります。
相続人の順位は次のとおりです。
子どもがいない夫婦では、第1順位の相続人が存在しません。さらに、両親がすでに亡くなっている場合には、第2順位の相続人も存在しないため、第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、その子である甥や姪が相続人となります。この仕組みを代襲相続といいます。
例えば、配偶者が1人、兄弟姉妹が5人いる場合、相続人は合計6人になります。また、兄弟姉妹が亡くなっていて甥姪がいる場合には、さらに相続人の人数が増えることもあります。
このように、子どもがいない夫婦の相続では、相続人の人数が多くなる傾向があります。
配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合の法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1(人数で分割)と定められています。
一見すると、兄弟姉妹の取り分は4分の1であるため大きな問題はないように思えるかもしれません。しかし、実際の相続手続きでは、相続人の人数が多いこと自体が大きな問題になることがあります。
遺産分割を行うためには、相続人全員の合意が必要です。相続人が1人でも同意しなければ、不動産の名義変更や銀行口座の解約手続きを進めることができません。
また、兄弟姉妹や甥姪とは普段の交流がほとんどなく、遠方に住んでいることも珍しくありません。そのような場合、相続の話し合いを進めるだけでも大きな負担になります。
相続人が増えるほど意見の調整が難しくなり、遺産分割協議が長期間まとまらないケースもあります。
「それほど財産がないので遺言書は必要ない」と考える人も少なくありません。
しかし、子どもがいない夫婦で相続人が兄弟姉妹や甥姪になる場合には、財産の多さに関係なく遺言書の作成を強くおすすめします。。
例えば、遺産の大部分が自宅不動産であり、現金や預貯金があまりない場合を考えてみます。配偶者は自宅に住み続けたいと考える一方で、兄弟姉妹は法定相続分に相当する金銭の取得を希望する可能性があります。
不動産の評価額によっては、配偶者が他の相続人に代償金を支払う必要が生じることがあります。配偶者自身の資金が少ない場合には、住み慣れた自宅を売却せざるを得ない状況になる可能性もあります。
また、被相続人名義の銀行口座を夫婦の生活口座として使用していた場合には、相続開始後に口座が凍結されることがあります。遺産分割協議がまとまるまで預金を自由に引き出せなくなるため、生活に支障が出ることもあります。
このような事態を防ぐためにも、子どもがいない夫婦では遺言書を準備しておくことが大切です。
民法には遺留分という制度があります。遺留分とは、一定の相続人に最低限保障される取り分のことです。
遺留分が認められているのは、配偶者、子、父母などの直系尊属です。一方で、兄弟姉妹や甥姪には遺留分が認められていません。
この点は、子どもがいない夫婦の相続において非常に重要な意味を持ちます。
例えば、遺言書に「すべての財産を配偶者に相続させる」と記載した場合、兄弟姉妹や甥姪は遺留分を請求することができません。
その結果、遺言書の内容どおりに財産を承継させることができ、遺留分を請求される心配もなく、配偶者が安心して生活を続けることができます。
遺言書を書くという行為には、自分の人生を振り返る意味合いもあります。しかし、遺言書にはそれ以上に、残された相続人の負担を減らすという大きな役割があります。
相続人である配偶者が相続手続きで苦労する場面は少なくありません。相続人が多い場合には、戸籍収集、不動産の名義変更、金融機関の手続きなど、多くの作業を行う必要があります。
遺産分割協議が長引けば、その間は手続きが進まず、配偶者の日常生活にも影響が出る可能性があります。
遺言書がある場合には、相続の方向性が明確になり、手続きを円滑に進めることができます。
特に子どもがいない夫婦にとって、遺言書は財産の多さに関係なく、残された配偶者を守るための大切な準備といえます。
遺言書の作成は、自分のためだけのものではありません。残された配偶者への感謝や愛情を形にする手段でもあります。
円満かつ円滑な相続を実現するためにも、元気なうちに、早い段階から遺言書について考えてみてはいかがでしょうか。
2026年3月
司法書士 日永田一憲
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代表者
司法書士・行政書士
日永田一憲(ひえだかずのり)
昭和44年生れ
鎌倉市在住
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